【簡単】ティッピング・ポイントとは|ブームを生み出す方法

マーケティング
ティッピング・ポイントとは|ブームを生み出す方法

「ティッピング・ポイントって何? 割れた窓理論を知りたい 流行を生み出すにはどうすればいいの? 経営学ってなんだか難しそうだな…」

こういった疑問に経営学修士(MBA)の筆者が答えます。

結論

ティッピング・ポイントとは「それまで小さく変化していたある物事が、ある日、突然すべてが急激に変化する時点」のことです。詳細は本記事にて解説します。

本記事の参考文献

本記事の内容

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ティッピング・ポイントとは

ティッピング・ポイントとは米国ジャーナリスト:マルコム・グラッドウェルが提唱した「それまで小さく変化していたある物事が、ある日、突然すべてが急激に変化する時点」のことです。2018年のインディーズ映画「カメラを止めるな」、2019年のタピオカ、2020年鬼滅の刃、そして2021年のイカゲームなど、世の中には気がつくとなぜか流行ってるものがあります、このようなブームは感染症と共通したティッピング・ポイントがあるのです。

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ティッピング・ポイントの事例

ティッピング・ポイントの事例

ティッピング・ポイントの事例は以下のようなものがあります。

  • ある1つのブランド商品の人気に火が付くきっかけとなるできごと
  • 新型コロナウィルスなどの伝染病が爆発的に蔓延するきっかけとなるちょっとした変化
  • ある人物のちょっとした言動や発信で国民的有名人になるできごと

ティッピング・ポイントを生み出す方法

ティッピング・ポイントを生み出す方法

上写真は横軸に時間、縦軸に流行を表しており、突然流行が加速する黄色のポイントがティッピング・ポイントを表しています。このようなティッピング・ポイントを生み出すには少数者の法則、粘りの要素、背景の力という3つの原則があります。それぞれを解説します。

1.少数の法則

流行は影響力が大きなコネクター(媒介者)、メイヴン(物知り)、セールスマンの3タイプのインフルエンサーが関わると拡がります。

コネクター(媒介者)

コネクターは交際範囲が広く、とにかく人と人を引き合わせてつなげるのが得意な人です。例えばパーティを次々主催し、参加すると飛んできて人を紹介するような人物です。
人のネットワークはごく少数の人でも、大勢とつながることができるのを皆さんもご存じだと思います。社会心理学者ミルグラムは、アメリカ人全員の中から無作為に面識がない2人選んで、平均5人の知り合いを手紙で仲介すればこの2人がつながることを実験で示し、「世界は狭い」ということを実証しました。ただし、手紙のほとんどがたった1人の人物を経由して相手に渡されていることも明らかとなりました。コネクターとはこのように、多くの人をつなげる人間関係のハブなのです。クチコミがどこかでコネクターを経由すると一気に拡がるのはこのいう理由なのです。
また、社会学者グラノヴェターは「弱いつながりの強さ」という概念を提唱しています。グラノヴェター
は研究で、知人を通して新しい仕事を見つけた54人に、その知人とどのくらいの頻度で会ったか調査したところ、「弱いつながり」の知人経由で仕事を見つけた人が83%圧倒的に多かったのです。強いつながりの知人が持つ情報は自分も知っていることが多く、転職の決め手のならないようです。このように弱いつながりはさまざまな新しい知識が得られるのです。弱いつながりを多く持つコネクターは、相手に知らない情報を伝え、拡散させるプロなのです。

日本企業は「強いつながり」が中心のため、イノベーションが起きにくいと言われています。積極的に社外に出て情報発信するために、副業が推奨されたり、シェアオフィスの利用などが一時期話題となりました。
ちなみに「強いつながり」にもメリットがあります。例えばニューヨークのダイヤモンド卸商人はユダヤ人が独占しており、互いに親縁関係で結ばれているのです。品質鑑定では保証も交わさずに袋ごとダイヤモンドをごっそり渡しますが、人造ダイヤなどへのすり替えは起こりません。これは互いに「強いつながり」で結ばれているからできることなのです。

メイヴン(物知り)

メイヴンは他人の問題を解決することに生きがいを感じる人です。例えば、新しいITガジェットが発売されたら真っ先に購入し、「俺、モルモットだから」といいながら結果を他人に教えたり、新しいカフェに真っ先に入り紹介するような人です。利害を離れた専門的な意見をもつので説得力が強いので、クチコミの感染を始動させる知識と社交的スキルを備えているのです。

メイヴンとはイディッシュ語で「知識を蓄えている人」という意味

セールスマン

セールスマンとはカリスマ性があり、催眠術師のように強力な説得力を持ち、相手をその気にさせる人物です。もともと「これはいいよ」という感情は感染しやすいものですが、セールスマンは会話の流れを支配し、「これはいいよ」という感情をさらに濃く感染させます。このように、コネクター(媒介者)、メイヴン(物知り)、セールスマンという3タイプのインフルエンサーが関わることで、流行が生まれます。

2.粘りの要素

モノが流行るにはメッセージが人の記憶に粘りつく必要があります。マーケティングでは「広告を覚えてもらうには最低6回繰り返せ」と言われますが、これには膨大なお金がかかります。
そこで、スタンフォード大学教授チップ・ハースは「成功するメッセージの6原則」として「a.単純明快」、「b.意外性」、「c.具体的」、「d.信頼性」、「e.感情に訴求」、「f.物語性」をあげました。それぞれを解説します。

a.単純明快である

ハリウッドでは、物語・監督・配役・予算のわずかな違いで完成度も興行成績も一変する中、ふわふわな企画段階の映画に100億円投資するか否かきめなくてはならなりません。そこでハリウッドでは「明確なコンセプト」を求めるのです。例えば、映画「エイリアン」のコンセプトは「宇宙を舞台にしたジョーズ」という単純明快なメッセージです。これが決まれば「主人公は逃げ場のない戦場で焦りと不安を感じながら、一か八かの判断を下す」というアイディアの核ができたのです。

b.意外性がある

米国で実際に流れたCMでは、楽しげな家族を乗せたミニバンが滑るように走り、交差点で信号待ちして発信した直後、猛スピードの車が交差点に突っ込み、ミニバンの横腹を直撃します。そしてその衝撃音とともにガラスは砕け、金属はねじ曲がり、画面は暗くなり「予想もしませんでしたか?誰もがそうなのです。シートベルトを締めましょう」というメッセージが流れるというものがあります。これは米国広告協議会が製作したCMで、このように「こうなるはず」という相手の推測を壊せば視聴者に意外性を持たせることができるのです。

c.具体的である

例えば、「ダイソン、吸引力が変わらない、ただひとつの掃除機」というCMを覚えている方は多いのではないでしょうか。このメッセージから視聴者は「吸引力が変わらない」、「それはダイソンしかない」という具体的なイメージが印象に残ります。このように、他の製品と何が違うのかや、数字を入れることで具体性が増し、印象的になります。

d.信頼性がある

現代の消費者はメッセージを信じませんが、統計を利用すれば信頼されるようになります。例えば、あなたがサメ救済基金の責任者なら、「サメによる死者は年平均0.4人しかいない」ではなく、「鹿に殺される確率はサメに殺される確率の300倍」の方が説得力があります。
他にもシナトラ・テストと呼ばれる事例を使う方法もあります。シナトラ・テストとは、あることを納得性のある形で証明するには、より大きなことを一つ成しとげれば良いという理論です。例えば「このセキュリティソフトは防衛省で採用された」と言えば、誰もが「防衛省で採用されているのであれば、信頼性は抜群」と信じるのです。

e.感情に訴える

人は「300万人が飢えている」という統計的な数字では動くのではなく、「ロキアという7歳の少女は極貧生活を送り、深刻な飢えに脅かされている」といった個人に共感して動くのです。行動を促すには感情に訴えることだ。

f.物語性がある

最近「製品ではなく、ストーリーを売れ」という話をよく聞くようになりました。これは製品機能では差別化が難しくなった昨今で、ストーリーが差別化を生む手段となったからです。
例えばサインドウィッチ・チェーン「サブウェイ」は脂肪分6g以下の7製品を「7アンダー6」としてキャンペーンを行いました。しかし、このキャンペーンではなく、同時に実施したアメリカ人男子大学生ジャレドの物語が全米で大反響を呼びました。190kgのジャレドは体重が増え、体調が悪化し、「35歳まで生きられない」と医者に宣告されます。そこでジャレドは7アンダー6を知り、自己流サブウェイダイエットを開始しました。すると体重が82kgまで落ち、新聞記事がきっかけで広告代理店がテレビCMをつくったのです。
実は、ジャレドの物語は「成功するメッセージの6原則」をすべて満たしていたのです。

  1. 単純明快である…サブウェイ・サンドウィッチで体重が減る。
  2. 意外性がある…ファストフードで大幅に体重が経るのは常識外れ。
  3. 具体的である…大きすぎて履けなくなったズボンと細くなった腰回り。
  4. 信頼性がある…ジャレドが体験した事実に基づいている。
  5. 感情に訴える…「35歳まで生きれない」とされていたが、サブウェイに助けられた。
  6. 物語性がある…大きな障害を乗り越えて勝利をつかんだ物語は人を勇気づける。

3.背景の力

これが背景の力とは、「流行るかどうかは、時期と場所の条件や状態で大きく左右される」ということです。
1980年代のニューヨークは殺人が多発する物騒な犯罪都市でした。特に地下鉄は荒れ放題の落書きだらけ、犯罪多発ゾーンでした。しかし、1990年をピークにニューヨークの犯罪は一気に減少しました。そのきっかけになったのが、「割れた窓理論」です。「割れた窓理論」とは、至るところで窓ガラスが割れている無法地帯の雰囲気では「ここでは何してもいい」と思わせて犯罪を誘発するという理論です。ニューヨークの地下鉄は割れた窓理論に基づき、「落書きが地下鉄崩壊の象徴」と考え、徹底的に撲滅しました。さらに無賃乗車も厳しく罰しました。その後、この活動を指揮した地下鉄警察の責任者がニューヨーク市警の長官になり、この戦略をニューヨーク市全体で展開した結果、犯罪は75%も激減したのです。凶悪犯罪激減のティッピング・ポイントは、生活環境犯罪の取り締まりと、環境の改善だったのです私たちは「犯罪撲滅」という制度や失業、格差などに原因を求めがちですが、本当の問題は実は些細なことなのです。

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