【簡単】超ひも理論とは|超ひも理論をわかりやすく解説

【簡単】超ひも理論とは|超ひも理論をわかりやすく解説 量子力学

「超ひも理論って何? なぜ粒子をひもと考えるの? ひも理論と超ひも理論の違いは? 超ひも理論ではなぜ9次元空間なの? 超ひも理論において空間って何? 物理学って何だか難しそうだな…」

こういった疑問に物理学修士の筆者が答えます。

結論

超ひも理論とは素粒子(電子やクォークなど、これ以上分解できない粒子)はひもだという理論です。詳細は本記事にて解説します。

本記事の参考文献

本記事の内容

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超ひも理論とは

超ひも理論とは

超ひも理論とは、素粒子(電子やクォークなど、これ以上分解できない粒子)はひもだという理論です。
例えば素粒子の種類には上表のようなものがあります。超ひも理論では、「9次元空間を振動するひも」の振動の仕方によってそれぞれの素粒子に変化するのです。
表の左半分はすでに発見された素粒子(重力子をの除く)を表しており、右半分は超ひも理論のより存在が予言されている素粒子(超対称性粒子)を表しています。

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素粒子はなぜ「点」ではなく「ひも」なのか

素粒子はなぜ点ではなくひもなのか

クーロンの法則では、空間に満ちている電場や磁場などの「場」の存在を、すべての物質が大きさのない「点」と考えると、電子が自分自身で発信した電磁場の強さは、無限大になるという問題が発生します。上表でいうとr(距離)が0になるとF(力)は無限大になるという意味です。また力が無限大になるとアインシュタインの有名な式「E=mc2」から、エネルギーが無限大になり、電子の質量も無限大になってしまいます。質量とは、その物体の「動かしにくさ」や「止めにくさ」を表すので、電子の質量が無限大なら、電子を動かすことは不可能になり、パソコンやスマホといった身の回りにある電子技術はありえないことになります。そこで提案されたのが「1.くりこみ」と超ひも理論の基となった「2.ひも理論」なのです。ちなみに無限大問題は電磁気力だけでなく、強い力、弱い力、重力でも同様の問題が起こるのです。

1.くりこみ

くりこみはリチャード・ファインマン、ジュリアン・シュウィンガーと朝永振一郎がそれぞれ独立に開発した方法で、電子の質量や電子の間に働く力が無限大になってしまうような計算から、意味のある結果を引き出すために考えだされました。
例えば、電子がもともと持っていた質量の値(負の値)で、電磁場のエネルギーにより発生する無限大の質量を相殺するという考えです。
実際に、コーネル大学の木下東一郎らの電子の「磁気能率」という物理量をくりこみの方法を使って計算し、実験結果と一兆分の一以下という精度で一致するなど成果を上げています。
しかし、くりこみには欠点があります。それはよりミクロな理論では対応できなという点です。例えば、ミクロな世界を扱う量子力学では空間や時間さえも、不確定になってゆらいでいます。ゆらぎのような量子力学的な効果を反映していないくりこみで無限大問題は対処できないのです。実際に、一般相対性理論に無理やり量子力学の計算方法をあてはめると、くりこみの方法では処理できない無限大問題が発生します。

2.ひも理論

ひも理論を提案したのは、シカゴ大学の南部陽一郎と日本大学の後藤鉄男です。彼らは素粒子を 「点」ではなく、一次元的に拡がって振動する「ひも」だとすると、無限大問題や当時問題になっていた素粒子の性質がうまく説明できたのです。
ひもは1種類ですが、両端のある「開いたひも」と、両端がくっついて輪になった「閉じたひも」の2パターンあります。例えば「開いたひも」の振動には、電磁気力を伝える光子が含まれており、「閉じたひも」は重力を伝える重力子(未発見)が含まれています。

ひも理論と超ひも理論の違い

ひも理論と超ひも理論の違い

超ひも理論は物理学者シュワルツ、アンドレ・ヌブーとピエール・ラモンによってひも理論から発展されました。ひも理論では、力を伝える素粒子であるボゾン(上表赤枠部)のみの性質を表した理論でしたが、超ひも理論では物質のもとになる素粒子であるフェルミオン(上表青枠)に拡張した理論となります。そこが、弦理論と超弦理論の違いなのです。

超ひも理論の「超」とは何か

超ひも理論の超とは何か

超ひも理論の「超」とは超空間の「超」です。ひも理論にフェルミオンを採り入れる際に、「超空間」というグラスマン数で表した空間が必要でした。
中学生の数学で「座標」を習うと思います。例えば、2次元平面の上の点の位置は、(1,1)というように2組の数字で決まり、3次元立体の点の位置は(1,1,1)というように3組の数字で決まります。このように数字で位置を決めるために与えらた数字の組を座標といいます。普通の空間では、この座標が「普通の数」で表されますが、「グラスマン数(同じ数どうしをかけると、答えがゼロになる数)」で表した空間を超空間といいます。フェルミオンの性質を表すにはこのグラスマン数が必要だったのです。なぜ、グラスマン数が必要かというと、フェルミオンとボゾンの性質の違うからです。
物質を形成するフェルミオンは、ある状態を一つの粒子が占めると、別の粒子が同じ状態をとることができません。例えば貯金箱はお金を入れ続けると一杯になります。硬貨のような物質は空間を占有するので、複数の硬貨を上に重ねたり横に並べたりすることはできても、同じ空間に重ねることはできないからです。しかし、もし硬貨がボゾンでできていたら、同じ空間に重ねることができるため、貯金箱がいっぱいになることはありません。 この空間に重ねることができないというフェルミオンの性質を表すにはかけたらゼロになるというグラスマン数が必要だったのです。

超ひも理論はなぜ9次元空間なのか

超ひも理論はなぜ9次元空間なのか

光子の質量を0と考えると、超ひも理論では必然的に9次元空間となります。ここではその理由を紹介します。
光子の質量=ひもの最低エネルギー+ひもの振動エネルギーとなります。
まず、光の速度で進む物質は質量が0でなくてはならないので、光子の質量は0となります。
次に、ひもの最低エネルギーとは、ひもが振動せず止まっている状態のエネルギーです。振動してないってことはエネルギーが0と想像しますが、量子力学のようなミクロな世界では、「不確定性原理」により、0ではなく不確かな値を取ります。不確かな値の中で1番小さな値は(D-1)×(1+2+3+…)となります(Dは空間の次元数)。1+2+3+…は無限大ですが、オイラーの公式では1+2+3+…=-1/12となります。さらに超空間でのグラスマン数の座標の方向への振動を考えると、ひもの最低エネルギーは3倍になり、-(D-1)/4となります。
最後のひもの振動エネルギーは2となり、光子の質量の式は以下となります。
0=-(D-1)/4+2
よってD=9となり、9次元空間で考えなければ光子の質量0とつじつまが合わなくなるのです。

双対性のウェブ

双対性のウェブ

超ひも理論には大きく分けて5つの種類があります。

  • Ⅰ型…開いたひもと閉じたひもの両方からできている超ひも理論
  • ⅡA型…閉じたひもだけを含み9次元空間でパリティを破れない超ひも理論
  • ⅡB型…閉じたひもだけを含み9次元空間でパリティを破る超ひも理論
  • ヘテロA…32次元の回転対称性を持つヘテロティックひも理論
  • ヘテロB…例外群の対称性を持つ持つヘテロティックひも理論

物理学者エドワード・ウィッテンは5種類の超ひも理論に双対性(そうついせい)があることを発見しました。双対性とは、光が波と粒子の性質を持つといったように、1つのモノが対となる性質を持っていることです。例えば、水蒸気、水、氷は異なるモノに見えますが、H2Oと表すことができるように、5種類の超ひも理論も実は1つの理論で説明できるのです。さらにウィッテンは10次元空間の超重力理論もこれらと結びついていることを明らかにしました。これを双対性のウェブといいます。
ちなみにヘテロティックひも理論とは、プリンストン大学の物理学者4名が提唱した「超ひも理論のアノマリー(量子ゆらぎによって理論の整合性が失われること)を解消した理論」です。

ブレーン

ブレーン

p-ブレーン

超ひも理論では、「ブレーン」という2次元の膜が1次元のひもと同様に存在するのではないかと考えられています。また3次元や9次元に広がるブレーンの存在も示唆されています。3次元のブレーンを3-ブレーン、9次元のブレーンを9-ブレーンといったようにp次元に広がるものを「p-ブレーン」といいます。

D-ブレーン

ポルチンスキーは「p-ブレーン」の軌跡上に「開いたひも」が張り付いていると考えました。この「開いたひも」がはりついた「p-ブレーン」を「Dブレーン」といいます(Dとは数学者グスタフ・ディレクレの頭文字をとっています)。私たちの住んでいる世界は3次元のDブレーンだと考えた時、重力だけ他の力(電磁気力、強い力、弱い力)より弱いのは、重力の素粒子である重力子が「閉じたひも」でDブレーンにはくっつかず、外に飛んでいくからだと説明できるのです。

超ひも理論において空間とは何か

超ひも理論において空間とは何か

超ひも理論において空間とは、本質的なものでなく、2次的な概念です。ウィッテンは9次元空間のⅠA型超ひも理論の結合定数を大きくすると、10次元空間の超重力理論になることを証明しました。結合定数とは、電磁気力における電荷のように、素粒子間に働く力の強さを表しています。これは空間の次元は本質的な概念ではないことを示唆しているのです。本質的とはどういうことかというと、例えば温度は2次的な概念で、本質的には「分子の運動の激しさ」を表しています。つまり、私たちが熱いとか寒いと感じるのは分子が温度を持っているからではなく、ミクロで見ると分子がどれだけ激しく動いているかが関係しているのです。超ひも理論では温度のように、空間は本質的な概念でなく2次的な概念であり、結合定数の違いで空間の次元が変わってしまうのです。

超ひも理論のタイムトラベル

超ひも理論では上写真のように、私たちの住む宇宙を多次元空間に浮かぶ三次元の膜と考えます。物理学者の中では「別の宇宙も多次元空間に浮かんでいる可能性がおり、ひもが私たちの宇宙と別の宇宙を結んでいる」と主張する人もいます。この場合、膜と膜をつなぐ次元は微小であるため、実験室にも無数の膜(宇宙)が存在し、室内からでることなくタイムトラベルができるのです。

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