【簡単】重農主義|ケネーの生い立ちや経済表を解説

【簡単】重農主義|ケネーの生い立ちや経済表を解説 経済

「重農主義って何? ケネーって誰? 経済表とは? 経済学って何だか難しそうだな…」

こういった疑問に経営学修士(MBA)の筆者が答えます。

結論

重農主義とはフランソワ・ケネーが著書『経済表』で提唱した「国の富の源泉は農業のみだから政府は重商主義をやめ、農業だけは計画的に介入せよ」という経済思想です。 アダム・スミスが「国富論」で重商主義を批判したことは有名ですが、ケネーはスミスよりも前重商主義を批判し、さらにスミスよりも前に自由放任主義を主張したのです。詳細は本記事にて解説します。

本記事の参考文献

本記事の内容

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ケネーの生い立ち

ケネーの生い立ち

フランソワ・ケネー(1694~1774)はパリ大学医学部を出た後、医学に関する論文を多数残し、外科医としての功績を残しました。例えば当時、血液は心臓と肝臓でそれぞれ作られた動脈血、静脈血が流れ出て、そこから体の各器官に吸収される「一方通行」のものと考えられていました。しかしケネーはハーヴェイの血液循環説(血流は一方通行ではなく、体内を循環し、たえず再生されるという説)を主張し、それらが認められ、晩年は国王ルイ5世の愛妾あいしょう(お気に入りのめかけのこと)の侍医じい(王付きの医師)として、ヴェルサイユ宮殿の中二階に住んでいました。そこにドゥニ・ディドロ(1713~1784:フランスの哲学者であり美術評論家)やジャン・ダランベール(1717~1783:フランスの哲学者であり数学者)など、啓蒙思想家たちが集いました。
その後、ケネーは「血液循環と同じことが経済でも起こっている」として、「社会の中では富が循環し、再生産されるなら、心臓にあたる部分は農業を行うための土地だ」と考え、ほとんど独学で『経済表』を完成させました

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経済表

経済表|重農主義

ケネーは著書『経済表』で提唱した「1.重商主義」を中心に、「2.市民階級」や「3.農業統治」について解説します。

重農主義

ケネーは、すべての産業の中で、農業だけが純生産物(生産物から、それに要した諸費用を差し引いて残った富の純増分のこと)を生むと考え「土地が富の唯一の源泉であり、その富を増加するものは農業である」と主張しました。つまり「農業のみが投入したコストを上回る成果を生み出す」ということ述べたのです。なぜ農業だけかというと、工業がやっていることは生産ではなくて「加工」であり、付加価値を生み出すかわりに、原材料を消費するため、富の純増分は生まれません。さらに商業は「交換」しているだけ、こちらも富の増加ではないのです。
しかし農業だけは費用はかかりますが、自然の恵みで1粒の種が千粒の小麦になる。つまり農業なら、諸費用を差し引いても残る部分(富の純増分)が生まれ、さらに血液の循環同様「再生産」にもつながるとケネーは主張したのです。

市民階級

ケネーは上記を踏まえた上で、国内の市民階級を3つに分けました。

  • 生産階級…農民。国土の耕作によって年々の富を再生させ、国内のすべての富の源泉となっている。
  • 地主階級…農民から純生産物を「地代」として徴収して生活する階級。
  • 不生産階級…「商工業者」のような農業以外に従事する市民。

農業統治

さらにケネーは国王に対し、農業統治のあり方を進言しました。

  • 農業の「流通→配分→再生産」を循環させること。
  • 再生産に回す資金を削らないように租税はとりすぎず、貯蓄はしないこと。
  • 家畜の増殖。
  • 娯楽を提供し小作農の子弟を農村に定住させ、農民の国外流出を避けること。(当時は「農民を怠惰にさせないには、彼らを貧乏にしておかなければならない」 と言いましたが、ケネーは「農民貧しければ、王国もまた貧し」と主張しました。)
  • 貿易で損を出さないこと/ただし農産物の貿易は妨げないこと。
  • 商工業は費用がかかるばかりで、収入の源泉にならないので自由放任。「農業生産のための支出 + 農産物の貿易」を助長すること。
  • 道路工事や港の整備で農産物の販路と運搬を容易にするため、公共事業をすること。
  • 「規模の経済」が働くため、農業は富裕農民の経営する大農地に、できるだけ統合せよ。
  • 非常時の支出は租税だけを使い、フィナンシェ(高利貸し)からは借りないこと。
  • 地主その他の領主は、他の産業ではなく農業を支えるようにすること。
これら以外にケネーは「主権の唯一性と優越性」(農業王国の秩序を作ること)や「自然法思想の普及」(為政者・行政官・国民すべてにとって、最も有利な自然秩序を学んでもらうこと)などを説きました。
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