【簡単】EPRパラドックスとは

EPRパラドックスとは 量子力学

「EPRパラドックスって何? 量子もつれって? アインシュタインが量子力学を否定したって本当? 局所性や実在性を知りたい。 物理学って何だか難しそうだな…」

こういった疑問に物理学修士の筆者が解説します。

結論

EPRパラドックスとはアインシュタインが指摘した、量子力学の局所性と実在性が両立しないというパラドックスです。アインシュタインは量子力学が完全でないことを量子もつれを使って説明しました。詳細は本記事にて解説します。

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EPRパラドックスとは

EPRパラドックスとは

EPRパラドックスとはアインシュタインが指摘した、量子力学の局所性と実在性が両立しないというパラドックスです。アインシュタインは量子力学が完全でないことを量子もつれを使って説明しました。

物理的実存とは

物理的実在とは、もし対象の状態を全く乱さずに、ある物理量の値を確実に予言できるとき、物理量に対応する物理的実在があるといえるのです。例えば電子のようなミクロなものを測定しようとすると、電子に電子並みの小さな物体をぶつけて測定しないといけないため、電子が本来もっていた物理量(位置、速度、スピンなど)が乱されるかもしれません。このように物理量を乱すことなく測定し、その結果が固有の値であれば実在すると言えるのです。

量子もつれとは

先ほどの説明を見て「対象の状態を全く乱すことなく測定なんてできるか?」と思うかもしれませんが、実はできるのです。電子のようなミクロなもの2つ量子もつれ状態にします。量子もつれ状態である2つの電子はどちらか一方の電子のスピン(自転)を測定すると、もう一方の電子の物理量も確定するのです。例えば電子のスピンが右周りか左回りかを判定するには上写真のように磁石の間に電子を通せば測定できるのですが、測定した方の電子はもちろん磁場が働くので正確に測定できません。しかし、もう一方の電子は何の測定もしなくてもスピンが確定するので「対象の状態を全く乱すことなく測定」ができるのです。このように測定には問題なさそうですが問題は「乱すことなく測定できたのに、値が乱れる」ことです。例えばスピンは大きくx方向、y方向、z方向の三種類に分けることができます。しかし、量子力学の不確定性原理では2つ以上の方向を同時に測定することできないという大原則があります。もし量子力学が完全なものならx,y,z方向のスピンの値を完全に予言できなければなりません。アインシュタインは量子力学の原理と実存性(物理理論の完全性の条件)が相容れないことを指摘し、量子力学が不完全であると結論づけました。
しかし、量子力学を完全であるとする方法があります。それは局所性(物理的な相互作用は遠隔的なものではなく近接的なものである)という物理学の大前提を否定することです。
例えば量子もつれ状態にある2つ電子があります。もちろん、電子Aのx方向のスピンを求めるとの電子Bのx方向のスピンがわかります。そこで、電子Aを測定する前の電子Bのx方向とy方向のスピンは決まってない(実在性はない)と考えます。実在性がないのであれば両方同時に確定しなくても完全性が保たれるのです。しかし、その場合は電子Aが確定した瞬間に電子Bへ何らかの情報が瞬間的に伝わったことを意味します。これはアインシュタインの特殊相対性理論で禁止されている「物質は光の速度を超える移動できない」という法則を打ち破るような現象なのです。このように、実存性(完全性)を保ったとしても今度は局所性の問題がでてくることをEPRパラドックスといい、アインシュタインは実存性(完全性)を否定することにより解決しようとしたのです。

ベルの不等式

その後1964年、ベルの不等式の実験という局所性を前提とした実験が行われ、ベルの不等式が破られました。つまり、アインシュタインの予想に反して、実在性か局所性のどちらかを否定しなければならないことがわかったのです。さらに1982年フランスのアスペらのグループが2つの量子もつれ状態にある光子でベルの不等式の実験を行ったり、他のチームが光子以外の陽子や原子イオンなどでも追加実験を行った結果、いずれも実在性か局所性のどちらかを否定しなければならないという結果になりました。

自由意志定理

2006年にコンウェイとコッヘンによって提唱された自由意志定理では「局所性か完全性(実在性)を
捨てる」ではなく、「自由意志、局所性、決定論」のどれかを捨てないといけないことがわかりました。自由意志とは測定者の自由意志です。それぞれの意味は以下に解説します。

  • 自由意志…測定者の自由意志です。例えば測定者はx,y,zの3つの方向を選べる自由意志があります。もしこれが否定されたら、測定者がどの方向を選ぶかはあらかじめ決まっていたことになります。つまり私たちの人生がどうなるかが、生まれる前から決まっていることにもなります。
  • 局所性…物理的な相互作用は遠隔的なものではなく近接的なものであることです。もし局所性が破られたら、相互作用は遠隔的にも行われることやアインシュタインの特殊相対性理論が提唱する「光速度以上の速度は出せない」といった原理に反することにもなります。
  • 決定論…電子には自由意志はないことです。もし決定論が否定されたら電子のような粒子にも「どっちにスピンしようかな~」といった自由意志があるのことになります。

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